メールで届く苦情や要望。

相手の顔が見えないだけに、温度差のある返信をして、さらに相手の感情を逆なでし、大きなクレームに発展してしまうケースがよくあります。

そうならないように、ここでは、クレーム応対メールの文例集と合わせて、何が相手を怒らせる原因になるのか?について、事例をご紹介します。

クレームを増やす、上から目線の失礼な文章の例

手続き上、書類が足りない、押印漏れ・・・ということは多々あります。

そんなとき、それだけでお客様はイライラします。ですから、言葉遣いには細心の注意が必要です。次のような書き方は要注意。

申し訳ありませんが、お送りいただいた申込書では、受け付けすることができません。
なぜならば、契約者様の押印がないからです。
ほかに間違いはありませんので、契約者様が自著されるか、または押印の上、再度、ご提出いただけますようお願いいたします。

丁寧に書いていますが、不愉快です。「イライラ」ポイントは2点。

  • 1点目は、論理的な書き方です。

本来、文章はロジカルに書かなければ理解しづらくなるのですが、相手は人間です。感情に配慮することも大切です。

相手を否定するときは、やんわりと。それが日本の文化です。

お断りするときは、「できません」という否定語を使わず、「~であればできます」と、代替案を提示すると、相手の感情を損ねずに、必要事項を伝えることができます。

このケースであれば、

契約者様の押印またはサインがあれば、お手続きが可能です。

といった具合です。

  • 「イライラ」ポイントの2点目は、「間違いはありません」という上から目線の言葉です。

「間違っている」「正しい」というのは、相手を評価する言葉です。

自社が勝手に決めた事務手続きについて、ちゃんとできたか、できないか、お客様に対して評価を下すのは、とても失礼なことだと思いませんか。

無意識に使った言葉で、お客様に不快感を与えないよう、注意しましょう。

イライラさせないメールの文例

申込書をお送りいただき、ありがとうございます。

いただいた申込書について、1点、お願いがございます。

申込書に、契約者様が自著されるか、または押印をしていただけますでしょうか。

署名または押印、どちらかをしていただいた上で、再度、ご提出いただければ幸いです。

お手数をおかけして恐縮です。

どうぞよろしくお願いいたします。

言葉足らずで、販売機会を失う文章の例

ある会社から、こんなメールが来ました。

ご注文の商品について、配送中に破損が生じたとの報告がありました。

そのため、代品手配を行なっておりますので、恐れ入りますが、商品到着まで今しばらくお待ちくださいますよう、お願いいたします。

嫌です。

待ちません。

急いでいるんです。

「今しばらく」では、3日なのか、1週間なのか、1か月なのかわかりません。

そんな状態なら、他社から購入します。せめて「○○日ほど」と具体的に書いていただきたいものです。

このような「言葉足らず」「情報不足」は、お客様をイラっとさせ、販売機会を失います。

このような文章で、御社の売り上げを落としていないか、確認しましょう。

イライラさせないメールの文例

先日は、ご注文いただきありがとうございます。

商品のお届けに時間がかかっており、ご心配をおかけし、たいへん申し訳ございません。

実は、ご注文の商品について、配送中に破損が生じたと、運送会社からの報告がありました。

そのため、最優先で代品手配を行なっております。

あいにく当方に在庫がなく、メーカーから取り寄せておりますので、商品のお届けまでに、さらに1週間ほどかかる見込みです。

お急ぎのところ、ご迷惑をおかけし、まことに申し訳ございません。

商品到着まで、お待ちいただくことは可能でしょうか。

もし、キャンセルをご希望でしたら、手配させていただきますので、お手数おかけいたしますが●月●日●時までに、ご連絡ください。

このたびはたいへん申し訳ございません。

重ねてお詫びを申し上げます。

今後は破損のないよう、いままでより厳重に梱包して配送いたしますので、なにとぞよろしくお願いいたします。

クレームを増やす言葉 ―ケンカを売ってますか??? 

無形文化財級の(!?)失礼なメールをご紹介します。

これは、貸し会議室の利用を申し込んだ、田中さん宛てに届いたメールです。

昨日ご連絡いただいておりまして、ご返信に関しましては、昨日中にお電話させていただいておりました。

全て御社のA様にはご説明させていただいておりまして、A様より田中様へ連絡するとのことでしたが、A様より何もお聞きではないでしょうか?

この度利用されるお時間は、本当は何時からになるのでしょうか?

それによって料金も違います。

(料金説明)

ご理解いただけましたでしょうか?

これを読んで、「どこが感じ悪いの?」と思った方は要注意!

同じような文章を書いてしまう恐れがあります。

ポイントは「?」(クエッション)マークです。

~でしょうか?

~でしょうか?

~でしょうか?

・・・と、「?」が続くと、詰問されているような印象です。

日本語では、「か」は「疑問」の意味を表す終助詞です。

英語のように「?」をつけなくても、たいてい、質問されていることはわかります。

逆に「?」を付けることによって、「問い」が強調され、単なる質問のつもりでも、「問いただしている」「責めている」といった印象になってしまうのです。

「何もお聞きではないのでしょうか?」は、「何も」でさらに強調されます。

「え~っ??? もしかして、なんっっにも聞いてないのぉ~???」

といったところでしょうか。

ここでまずイラッときます。

さらに、「本当は~でしょうか?」という表現により、まるでお客様が嘘をついている、隠し事をしていると決めつけているように感じます。

「本当」の反対は、「嘘」。

こういった言葉を、私は「隠れ否定語」と命名しました。

そもそも、「会議室の利用時間」に関して、嘘をついたり、隠し事をしたりする必要があるでしょうか。

かなり不愉快です。

極めつけは「ご理解いただけましたでしょうか?」。

人差し指をこめかみに当て、「おわかり~?」と言っているような、小バカにした印象です。

そもそも、このメールのゴール(目的)は、「理解できたかどうか」を確認することではなく、「利用時間が何時間なのか」(申込内容)の確認ではないのでしょうか。

そうであれば、それを明確に書くべきですよね。

イライラさせないメールの文例

昨日ご連絡いただいた件について、お電話をいたしましたが、改めてメールでご連絡します。

御社のA様にご説明した内容と重複するかもしれませんが、ご容赦いただければ幸いです。

料金は、利用時間によって異なります。

(料金説明)

料金をご確認の上、利用時間をお知らせいただけますでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

文章の「イライラ度」チェック(記事一覧)

あなたの文章は読まれていない!
意味不明! ―読む意欲が失せます・・・
あなたの文章は読まれていない!
文字びっしりの文書 ―お客様の時間と財産を奪う
あなたの文章は笑われている!
敬語の誤用 ―お客様を「罵倒(ばとう)」してはいけません
あなたの文章は誤解される!
無意識に使っている専門用語 ―お客様にはわかりません
あなたの文章は誤解される!
何気なく使っている言葉 ―その言葉が会社の命運を分けるかも
あなたの文章は理解できない!
あいまい語 ―御社の仕事を増やしている原因かも
あなたの文章は不愉快だ!
クレームを増やす言葉 ―お客様を非難する言葉遣い
あなたの文章は不愉快だ!
誤字・脱字 ―いくつもあるとイラっときます
あなたの文章は笑われている!
文法的な誤り ―それは文章の基本ですよ!