無意識に使っている専門用語 ―お客様にはわかりません

試験には、鉛筆、万年筆又はボールペンを持参してください。

こう書いてあったら、あなたは何を持っていきますか。
いろんな方に聞いてみました。

Aさん:私は鉛筆と万年筆を持っていきます。

Bさん:私は万年筆を持っていないので、鉛筆とボールペンを持っていきます。

Cさん:私は念のため、全部持っていきます。

どれも正解です。
どう解釈しようと、それは個人の自由です。

でも、これが法令文や公用文だった場合は、そうはいきません。
法律や条令の解釈が、人によって異なるようでは困ります。
法律や条令が存在する意味がなくなってしまいます。

法令文や公用文では、

鉛筆、万年筆、ボールペンのどれか一つだけを持参する

というのが正しい解釈になります。

なぜならば、法令文や公用文では、「又は」は「どれか一つを選ぶ」ことを意味するからです。

このルールは、法律や行政文書など、厳密さを要求される文書の決まりです。
専門家以外は、理解しにくい表現です。

「いやいや、うちの会社は、法令文や公用文なんて書かないから、そんなルールは関係ないよ!」

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、実は関係あるのです。

例えば「契約書」や「約款」などは、法的効力があります。
そのため、法令文のルールで書く必要があります。

でも、「契約書」や「約款」の内容をお客様に説明する必要がありますよね。
例えば「重要事項説明書」もそうです。
そこで、「又は」のような法令文の専門用語をそのまま使うと、理解されなかったり、誤解されたりするおそれもあるわけです。

また、業種ごとに「所管庁」があるはずです。
情報通信業であれば総務省。
建設関連であれば国土交通省。
医療関係であれば厚生労働省。
このような、御社の事業を所管する省庁が、「これはこうしなさい」「これはやっちゃダメ」といった決まりを示していますよね。

それも、お客様に対する説明やお願いが必要になることがあるでしょう。
そのとき、行政から来た通知などに書かれている言葉をそのまま使っても、お客様には伝わらなくなってしまいます。

では、どうすればいいのか。

弊社が改善案作成のご依頼をいただいたとしたら、次のように書き換えます!

試験には、次の三つのうち、どれか一つだけ持参してください。

  1. 鉛筆
  2. 万年筆
  3. ボールペン

これなら、誰が解釈しても、結果は同じになり、誤解されません。

法令文や公用文を、誰でも理解できるように「翻訳」するのは、弊社が得意とするところです。
契約後のトラブルが多い場合は、契約内容の説明文書(重要事項説明書など)の改善をお勧めします!
具体例は、コンサルティング事例をご覧くださいませ。