無意識に使っている専門用語 ―お客様にはわかりません
あなたの文章は誤解される!, 表記・語彙 2012.11.27
ある会社のパンフレットに、こんなことが書かれていました。
変更手続きの際は、ご印鑑、会員証又は身分証明証を持参してください。
これを読むと、
「印鑑は持参しなくてはならない。そのほかに、会員証か身分証明証のどちらか一つも持参しなくてはならない」
つまり、2点持参する・・・・・・と解釈する人もいます。
でも、正しくは、
「印鑑、会員証、身分証明証」のどれか1点を持参すればよい
ということを意味します。
これは、次のルールに従って、解釈をした結果です。
- 各名詞は「、」で結び、最後の名詞の前にのみ「又は」を置く。「又は」の前後には、「、」を打ってはならない
- 動詞を列挙する場合は、動詞の連用形の後には「、」を打つルールがあるので、「又は」の前にも「、」を打つことになる
- 「若しくは」は、「又は」とともに用いる場合でなければ用いることができない
- 階層関係が3階以上になる場合は、「又は」は最も大きい大括弧の接続のみに用い、他の小括弧の接続には「若しくは」を用いる
『分かりやすい公用文の書き方 改訂版』(礒崎陽輔著/ぎょうせい)より
このルールは、法律や行政文書など、厳密さを要求される文書の決まりです。
専門家以外は、理解しにくい表現です。
もし、当社にエディット(編集)のご依頼をいただいたとしたら、次のように書き換えます!
変更手続きには、以下の3点のうち、どれか1点をお持ちください。
- 印鑑
- 会員証
- 身分証明証
こちらのほうが、誤解されないと思いませんか。