敬語の誤用 ―お客様を「罵倒(ばとう)」してはいけません

こんなFAXが来ました。
先日、医療特約の件でご連絡頂きました。
1時以降とのことで何回か電話を入れさせて
頂いておりますが、今だに通じていません。
大変恐れ入りますが、連絡頂けたらと思います。
「いまだに通じていません」は、
お客様にとって「カチンとくる」表現です。
なぜでしょうか。
インターネットで「未だに」と検索すると、
次のような例文が出てきます。
いずれも、今の状態が「悪い」ということを意味している、
暗に非難している……と思いませんか。
このようなイメージが、「未だに」という言葉にはあります。
そこで、「未だに通じていません」と書かれると、
まるで非難されているように感じるのです。
相手の受けるイメージをも考慮して、言葉を選びたいものです。
ある会社のセミナー受講後のアンケートで、 こんな設問がありました。
このサービスをご活用してみたいですか。
恥ずかしいですね~。
「ご活用する」は、敬語の指針によれば、「謙譲語Ⅰ」です。
つまり、自分や身内の動作に使うべき言葉で、
お客様の動作に付けてはいけません。
それを言うなら、
活用される/活用なさる/ご活用になる
です。
このサービス、製品を「活用したい?」と聞きたいときは、
活用したいと思われますか
ですね。
同様に、
ご利用できません
も、敬語の誤用です。
自分で自分に敬意を払っていることになります。
いわゆる「自称敬語」。
電車に乗っているときに流れるアナウンスでも、
ご乗車できません
は、やはり間違いです。
「お前らが、わらわの車に乗ることは許さぬぞよ」
といった意味合いになってしまいます。
時代劇に出てくるお姫さま、お殿さまのような口調です。
では、なぜイケナイのか。
・・・・・・それは『言いたいことが確実に伝わるメールの書き方』(明日香出版)のP.97に書いたので、ぜひ、お読みください(笑)